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離婚後の生活

離婚を考える際は、つい離婚の条件面ばかりを考えてしまいがちです。

しかし、離婚後の住居はどうするか、生活費はどのくらいか、どのような公的扶助があるのかなど、離婚後の生活について考えておくべき事項は沢山あります。

離婚について後悔しないためにも、離婚を、自分らしい人生を生きていくための新たなスタートとするためにも、離婚後の生活については、十分な見通しを立てて準備しておくことが大切です。

ここでは、離婚後の住居、医療保険、公的扶助について見ていきます。

目次

1 離婚後の住居

離婚を考える場合、最初に問題になるのが、離婚後はどこに住むかという問題です。

離婚をすれば、通常、夫婦のどちらかが現在住んでいる住居を出て、新しい住居を探すことになります。

まずは、頼れる実家があるのなら、甘えて頼りましょう。

多少居づらくとも、経済的にもいろいろな支援が期待できますし、何よりも子どもを見てくれる人がいるというのは、自分も助かりますし、子どもにとっても幸せなことです。

実家の親と同居したり、自宅を財産分与等で譲り受けることができない場合には、賃貸不動産を探したり、場合によっては、行政支援の利用を検討するなど、離婚前に準備をしておくとよいでしょう。

 

(1)婚姻中に居住していた住居に、引き続き居住する場合

ア 一方配偶者の所有不動産の場合

婚姻中に居住していた住居が、相手方所有(名義)の場合、まずは、財産分与等により、所有権を取得できないかを検討してみましょう。

なお、財産分与や慰謝料などの離婚給付を不動産等で行う場合には、譲渡所得税などの税金が生じる場合がありますので、注意が必要です。

住宅ローン債務が残っている場合には、離婚後の住宅ローンをどちらが支払うのか、移転登記はいつ行うのか等についても、しっかりと取り決めしておく必要があります。

ただし、当事者間で、住宅ローン債務について債務者変更の合意をしたとしても、債権者である金融機関には対抗できません。また、通常、金融機関が債務者変更や連帯保証人からの解除の要請に応じることはありません。

事情により、住居の所有権を取得できない場合には、所有者である相手方との間で、賃貸借や使用貸借などの契約を締結するなどの方法により、離婚後も一定期間居住し続けることが可能です。

イ 賃貸不動産の場合

婚姻中に居住していた住居が、相手方が賃借人(契約者当事者)となっている賃貸物件の場合、引続き居住を希望する場合には、賃貸人の承諾・許可を得て、相手方から自分に対して賃借権を譲渡すると良いでしょう。

万一、賃貸人の承諾が得られなかった場合でも、同居の夫婦が離婚に際して賃借権を配偶者間で譲渡する場合については、賃貸人の解除権が制限される可能性があります。そのような場合には、法律の専門家である弁護士などに相談することをおすすめします。

 

(2)転居

事情により、新たな住居を探さなければならない場合には、賃貸不動産や公営住宅への入居を検討することになります。

ただし、離婚直後は無気力であったり、保証人を見つけることが難しかったりで、思うように住居を探せないこともありますの。

離婚後の住居については、離婚前にしっかりと考え準備しておけると良いでしょう。

 

2 離婚と医療保険

(1)医療保険制度の概要

現在の日本の医療保険制度は、すべての人が公的医療保険に加入し、全員が保険料を支払うことで、お互いの医療費負担を軽減する「国民皆保険制度」です。

この公的な医療保険制度は、大きく次の2つに大別されます。

① 民間企業で働く会社員などを対象とする健康保険、公務員を対象とする共済組合など

いずれも被雇用者を被保険者とし、配偶者や子どもはその被扶養者とされます。

② 他の医療保険に加入していない人(自営業者など)を対象とする国民健康保険

保険料の納付義務者は世帯主ですが、配偶者や子どもも被保険者となります。

 

(2)離婚後の医療保険

① 配偶者が健康保険に加入しており、その被扶養者となっていた人

離婚により被扶養者の資格を失うため、自らがいずれかの保険に加入する必要があります。

具体的な手続きとしては、離婚後、新たに民間企業等に就職した場合には、通常、勤務先の健康保険に加入することになります。

無職もしくはパートタイマーで健康保険に加入できない場合には、国民健康保険に加入する必要があります。この場合は、配偶者の健康保険の被扶養者でなくなったことを証明する「資格喪失証明書」を役所に提出し、加入手続きを行う必要があります。

② 配偶者が世帯主となっている国民健康保険に加入していた人

離婚後、民間企業等に就職した場合には、まずは、勤務先の健康保険に加入することを検討します。それ以外の場合には、自らを世帯主として国民健康保険に加入する必要があります。

③ 自らが世帯主となって国民健康保険に加入している人

離婚により相手方が世帯員でなくなるので、資格喪失届を提出しなければなりません。

 

(3)子どもの医療保険

父母が離婚したからといって、子どもが直ちに親権者の医療保険に加入するわけではなく、どちらの医療保険に加入するかは、扶養の実態によります。

① 夫の被扶養者として加入し続けることも可能

健康保険では、子どもが被扶養者となる要件は、「主として被保険者により生計を維持」していることであり、同一世帯であることは必ずしも要件ではありません。

そこで、離婚後も、被扶養者の要件を充たす場合には、離婚後も元配偶者が加入する健康保険の被扶養者として加入し続けることが考えられます。

② 国民健康保険の場合

国民健康保険では、住民票記載の世帯を基準としています。婚姻中、父が世帯主で母子が被保険者となっている場合に、離婚により母が子どもの親権者となって養育していく場合には、母だけでなく、子どもも世帯員ではなくなります。

この場合は、母が自ら勤務先の健康保険に加入し、子どもを被扶養者とするか、または、母が国民健康保険に世帯主として加入し、子どもを世帯員とするかの、いずれかによる必要があります。

 

(4)資格喪失証明書

離婚後、新たに医療保険に加入する際、資格喪失証明書が必要となる場合があります。典型例は、元夫の健康保険の被扶養者であった母子が、離婚後に国民健康保険に加入する場合です。

国民健康保険は、他の医療保険制度に加入していない人を対象とする制度ですので、原則として、他の医療保険(元夫の会社の健康保険、共済組合等)の資格を喪失したことを証明する必要があります。

ただし、離婚について当事者間での対立が激しいケースなどでは、離婚後に、元配偶者が資格喪失証明書の入手・受渡しに応じてくれないケースもあります。そのため、離婚成立の際には、資格喪失証明書を入手し渡してもらうことを合意内容に付け加えるなどしておくと安心です。

 

(5)保険料の減額・免除

離婚後の保険料支払いが難しい場合には、分割払いや保険料の減額・免除の申請を検討してみましょう。

これらの制度を利用するには、別途申請手続きが必要です。離婚後の生活について具体的な見通しを立てるためにも、離婚前に、制度の利用の可否や手続きの流れについて、役所に相談し確認しておくことをおすすめします。

 

3 公的扶助

国や地方自治体等は、様々な公的扶助の制度を設けています。

児童を対象とする公的扶助には、国の制度として、①児童扶養手当、②児童手当、③特別児童扶養手当、④障害児童福祉手当などがあります。

また、都道府県や市区町村などの各自治体において、独自に、ひとり親家庭への援助(医療費の助成、自立支援給付金事業など)を行っている場合もあります。各自治体により、公的扶助の種類・内容・所得制限の有無等が異なりますので、事前に役所などで制度について確認しておくとよいでしょう。

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