退職金
(1)既に退職金が支払われている場合
原則として、財産分与の対象になります。ただし、婚姻前の勤務期間分については、特有財産となります。
退職金が既に支払われていた場合、全額費消されたのでない限り、通常、預貯金や株式等の有価証券、不動産などに形を変えて残存していますので、基準時に残存するこれらが財産分与の対象になります。
(2)退職金が未だ支払われておらず、将来支給される場合
この場合、将来支給される退職金が、そもそも財産分与の対象に含まれるのかが問題となります。
これについては、賃金の後払い的性質を理由に、基本的には、財産分与の対象になり得ると考えられています。
もっとも、将来支給される退職金については、勤務先の存続、経営状態、就業規則の変更による退職金規定の消滅・変動等といった勤務先の事情に加え、本人の死亡、休職・解雇、中途退職等といった本人の事情により、いつの時点で、いくらの退職金が支給されるのかが不明確です。
そこで、将来支給される退職金については、当事者の年齢や会社の規模、定年退職までの期間などをもとに、将来支給される蓋然性が高いと認められる場合に限り、財産分与の対象財産に含まれると考えられています。