離婚を決意したが、相手が応じてくれない方へ
目次
はじめに
離婚しようと決意し相手に離婚を切り出したものの、相手が離婚に応じてくれない、話し合いにすら応じてくれないという場合があります。
離婚するには、裁判による以外は、基本的に当事者双方の合意が必要ですから、相手が離婚に応じてくれないと、なぜ離婚に応じないのかと相手に苛立ったり、先の見通しが立たず気持ちが焦ってしまうものです。
相手が離婚に応じない理由は、様々です。夫婦喧嘩の延長程度にしか考えていない場合や、自分は何も悪くないのだから離婚には応じないという場合、さらには、相手からの離婚要求に応じたら負けであると本気で考えている場合もあります。
たしかに、相手との交渉を考える上では、相手が離婚に応じない理由は何か、相手の本心がどこにあるのかを探ることは、非常に重要です。ただ、相手の言うことがすべて相手の本音であるとは限らないため、離婚に応じない相手の本心を正確に把握することは、容易ではありません。
そこで、相手が離婚に応じない理由が何であったとしても、以下のことを実践してみることをおすすめします。
1 まずは、離婚問題に詳しい弁護士に相談する
相手が離婚に応じてくれず、離婚が難しいといっても、それは当事者同士だけで話しているからかもしれません。
相手が離婚に応じない場合、その理由や状況に応じて対処法が変わってきますが、離婚問題に詳しい弁護士が入ることで話し合いが大きく前進することも、少なくありません。特に離婚の条件面で折り合いが合わず、相手が離婚に応じない場合には、離婚に詳しい弁護士を代理人として交渉することが有用です。
弁護士は、法律の専門家であるとともに交渉のプロですから、当事者双方が合意できる離婚条件を考え、相手との離婚交渉をスムーズに進めることができます。
また、離婚の際に取り決めるべき条件には、財産分与や慰謝料といった金銭の問題のほか、未成年の子どもがいる場合の親権や養育費、面会交流といった離婚後の生活にまつわる問題など、非常に多岐にわたります。そのような様々な問題を総合的に、有利に解決するには、離婚に関する専門知識と豊富な経験、ノウハウを有する弁護士に相談・依頼することが有効でしょう。
万一相手が夫婦喧嘩の延長程度にしか考えず、離婚について真剣に考えていないようなケースでも、弁護士を代理人につけることで、こちらの離婚の意思が固いことが相手にも伝わり、その後の離婚交渉がスムーズに進むことが多いです。
また、弁護士が代理人につくことで、相手はこれ以上離婚を拒否しても仕方がないと諦め、離婚に応じるケースも多いです。
もちろん、こちらが弁護士を立てると、相手も不利にならないようにと弁護士を立てる場合も多いですが、相手が離婚について真剣に考えることにつながり、離婚に向けて大きく前進することが多いです。
2 別居する
相手が離婚に応じない場合、可能であれば、別居を検討してみましょう。離婚を前提にした別居には、次のようなメリットがあります。
(1)離婚の意思が固いことが、相手に伝わりやすい
相手が離婚に応じない理由は、事案によって様々ですが、こちらの離婚の意思が固いことが相手に十分に伝わっていない可能性もあります。相手は夫婦喧嘩の延長くらいにしか考えていないため、離婚について真剣に考えることもしません。
このようなケースでは、別居を開始することで、こちらの離婚の意思が固いことが相手に伝わり、相手も離婚について真剣に考えるようになります。
(2)別居が長期間に及ぶことで、離婚が成立しやすくなる
離婚は、たとえ配偶者の一方が離婚したくないと主張しても、裁判で、法律上の離婚原因があると認められると、離婚が成立する可能性が高いです。そこで、離婚を考える際には、離婚原因の有無を十分に検討することが、重要となります。
相手に不貞行為やDV等の明らかな離婚原因があり、かつ、これらについて十分な証拠がある場合には、裁判で離婚が認められる可能性が高いといえます。他方で、明らかな離婚原因がないような場合には、離婚を前提に別居を開始することで、離婚に向けたスタートを切ることができます。
というのも、離婚の裁判では、別居が長期間に及んでいる場合、婚姻関係は既に破綻し、回復の見込みがないと判断され、法律上の離婚原因である「婚姻を継続し難い重大な事由がある」として、離婚が認められる可能性が高いからです。
現時点では別居期間が短い場合でも、別居を継続すれば、近い将来、離婚が認められる可能性が高まっていくので、可能であれば、早期に別居を開始することを検討してみましょう。
3 調停を申し立てる
(1)婚姻費用分担調停を申し立てる
法律上、夫婦は互いに扶養義務を負っていますので、収入が多い方は少ない方に対して、婚姻費用(別居中の生活費)を支払う義務があります。
そこで、自分よりも相手の収入の方が高い場合には、別居後、家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てることを検討するとよいでしょう。
(2)離婚調停を申し立てる
離婚に応じない相手に直接離婚を求め続けても、話し合いは平行線のため、どこかの段階で離婚調停による話し合いを検討すべきです。
調停は、家庭裁判所の調停委員や裁判官といった第三者を間に介して、相手と話し合う方法です。特に、相手がモラハラ傾向の人や、話が二転三転するような相手の場合は、交渉よりも調停の方が、離婚の話し合いがスムーズにいくことが多いです。また、相手が離婚に応じないと言っている場合でも、調停での条件交渉やタイミング等によっては、相手が離婚に応じる可能性も十分にあります。
ただ、最近の調停では、スピーディーな対応が要求されますので、争点や相手の主張に対し、その都度的確に自分の考えや意見、反論を説得的に伝えることが重要です。
調停においても、離婚問題に詳しい弁護士が代理人として就けば、状況に応じた的確な主張・反論を行うことができます。また、相手や裁判所からの問いかけに対しても、不利な返答にならないよう臨機応変に対処することが可能ですし、時には裁判所や相手方に対して積極的に意見や提案を述べるなど、主導的役割を果たすことも多いでしょう。
4 弁護士に依頼するメリット
離婚問題に強い弁護士は、依頼者の置かれている状況から、①そもそも法律上離婚が認められる事案か、②どのように進めれば離婚が可能か、③離婚する際の離婚条件(財産分与、慰謝料、親権、養育費等)について、どの程度が妥当なのか、④相手が離婚に応じない理由は何か等について、見通しを立て、刻々と変化する流れの中で、常に依頼者にとっての最善の解決を検討し、より良い解決へと導くために、適切な対処・アドバイス、交渉等を行うことができます。
相手が離婚に応じず、こう着状態の場合には、離婚問題に強い弁護士に依頼することで、事態が打開されることも多いです。
相手が離婚に応じてくれないとお困りの方は、ぜひ一度当事務所までご相談ください。